クロスステッチとは?
クロスステッチは、刺繍の一種で糸を交差させながら❌の形に刺していく技法です。
クロスステッチのみで絵や模様を表現する刺繍のことをクロスステッチ刺繍と呼び、「刺繍」を付けずに「クロスステッチ」と呼ばれることが多いです。
クロスステッチは、布と糸と針があればはじめることが出来ます。糸切る専用のハサミと布を切るハサミ、布を張るための刺繍枠があれば便利です。
クロスステッチの材料と道具がセットになったキットも販売されています。
今回は、「クロスステッチを刺し始める前の準備」と「クロスステッチの刺し方」を初心者にもわかりやすく解説します。
クロスステッチを刺し始める前の下準備
最初に布と糸の準備をしていきます。
クロスステッチ布の端の処理
クロスステッチでは、「アイーダ」や「ジャバクロス」という名前のブロック織りの布を使います。
ブロック織りは、縦糸と横糸が数本ずつ組みになって織り込まれブロックになっており、ブロックの四方に針を通す穴ができています。
布の端から織り糸がほどけてくるので、ほつれた糸を巻き込んでしまわないように「ほつれ止め」を施します。手縫いでほつれ止めをする方法は「かがり縫い」や「まつり縫い」などがあります。
私は、ほつれ止めには「ブランケットステッチ」を使っています。
ブランケットステッチのやり方
①から針を入れて、②の糸の手前に針を通します。
同様に繰り返して、右に移動していきます。
一周まわったら玉止めをして完了です。
「なぜほつれるのか?ほつれを防止するには?代表的なほつれ止めのかがり縫いとまつり縫いの違い」はこちら
刺し始める場所を決める
真ん中から刺し始める場合
(布を4つの折って)だいたいの布の中心を決めます。中心が決まったら水で消えるチャコペンや熱で消えるフリクションペンで印を付けます。
「水で消せるチャコペン」は100円ショップでも買うことができます。
端から刺し始める場合
水で消せるチャコペンや熱で消えるフリクションペンで、布に10マスごとにグリッド線(補助線)を引きます。
グリッド線を引いておくことで、今刺している場所がわかりやすくなるので刺し間違えることが減ります。
「洗うと消えるガイド線」がはじめから入っている刺繍布マジックガイドアイーダについてはこちら
糸の準備
クロスステッチでは、特に指定がなければ通常は25番刺繍糸を使います。
25番刺繍糸は、6本の細い糸がゆるくより合わさって1本の糸のように見えます。クロスステッチでは、この6本の細い糸から1本ずつ抜き取って使います。
抜き取った細い糸を何本使うかは、使う布の「カウント数」によって変わってきます。
使う糸の本数で「○本取り」といいます。
特に決まりはないですが、カウント数と何本取りかを目安として表にしました。
6~8カウント | 6本取り | ジャバクロス25(粗目) |
9~13カウント | 4本取り | ジャバクロス35(中目)ジャバクロス45(細目) |
14~19カウント | 2本取り | ジャバクロス55 ジャバクロス65 |
20カウント以上 | 1本取り | 綿オックスフォード |
刺繍糸の取り方(2本取りの場合)
使う色の刺繍糸を束から1本を必要な長さで切ります。
※2本取りで半分に折って使う場合は、半分の長さになるので長めに切ります。
切り取った糸の真ん中あたりで、細い1本の糸だけに針を引っかけます。
2本取りの場合は、抜いた1本の糸を半分に折り、真ん中で折った部分(輪になっている方)から針穴に通します。
簡単な刺繍糸の抜き方、絡まない取り方のコツはこちら
刺し始めの処理(ループメソッド)
クロスステッチで刺し始める時は玉留めを使いません。
クロスステッチ用の布は、布目が大きいため玉結びでは布目の穴を抜けてしまいます。穴を抜けないほどの大きな玉を作ると、飾るときに布がデコボコになってしまいます。
2本取りや4本取りなどの偶数の糸を使うときに出来る簡単な刺し始めのやり方を紹介します。
最初に表側から針を刺します。
表に糸を残した状態で、裏側から針を出します。
表の輪になっている糸に針を通して、裏側から刺した位置と同じ布目に刺します。
表の輪が裏側に隠れるまで裏側から針を引きます。
糸が固定されました。これで刺し始めの処理は完了です。
2本取りのときに簡単にできるこのやり方を「ループメソッド」といいます。
3本取りでも使える「ループメソッド」のやり方はこちら
クロスステッチの刺し方
クロスステッチは「ステッチの向きを揃える」のが基本ルールです。同じ作品では/か\のどちらかを上に統一します。どちらを上にするのかには正解はありません。
1マスずつクロス(×)に刺す方法
刺し始めの処理でマスに「/」ができているので、マスの右下から左上へ針を通します。
マスの右上から左下へ針を通します。
右下から針を出してきて、左上へ針を通します。
それを繰り返して1マスずつ「×」を作っていきます。
1マスずつ❌を刺すとき、下の図のように同じ❌を刺すにも8通りの刺し順があります。
先にナナメ(/)だけ刺す方法
同じ色がずっと続くときは、(\が上の場合)///を先に刺していって戻りながら\\\を刺す方法が、❌の形が綺麗になりやすく裏側も綺麗になり糸の節約にもなります。
先にナナメ「///」だけを刺し進めます。
「///」に刺したマスを戻りながら「\\\」で刺し進め、クロス「❌❌❌」にしていきます。
アイーダやジャバクロスのような糊がきいていて硬い布の場合は、刺繍枠を使わず「すくい刺し」で刺す方法もあります。
裏に出して糸を引いて表に返して糸を引くという2回の作業が1回ですむので、慣れれば普通の刺し方より早く刺せます。
刺し終わりの処理
クロスステッチでは、刺し終わりの時も玉留めを使いません。
通常は裏の糸の間にくぐらせて糸の始末をします。
裏側の糸の間に糸を通すやり方
布の裏に並んでいる糸の下をくぐらせて針を通します。
最後に余っている糸を切ります。
裏側の糸に数回からませる(巻き付ける)やり方
裏の糸がタテに並んでいない場合は、裏糸にクルクルと数回からめます。
隣の糸の下にくぐらせて巻き付けていきます。
最後に余っている糸を切ります。
刺し始めや刺し終わりに使える糸の始末の裏技はこちら
クロスステッチが完成したら
クロスステッチが完成したら、どのような活用方法があるのでしょうか。
飾るだけでもたくさんの飾り方があります。
・額に入れて飾る
・刺しゅう枠のまま飾る
・ベルプルに仕立てる
・カフェカーテンに仕立てる
・ファブリックパネルに仕立てる
小物を作って日常生活で使う方法もあります。
・キーホルダーやキーリングを作る
・コースターを作る
・くるみボタンを作る
・ビスコーニュ(ピンクッション)を作る
・マグネットを作る
・ワッペンを作る
・カルトナージュ風に装飾する
・壁掛け時計を作る
額に入れたり小物を作った後は、プレゼントとして贈っても喜んでもらえると思います。
それぞれの仕立て方はこちら
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